| よく遊び、よく働き、よく学ぶ 1. 受験動機
中学のころから海外志向がとてもつよく、英語の授業もすごく好きでした。要領が悪いせいか、受験勉強には試行錯誤して苦しんだあげくやっとの思いで大学に合格。キャンパスライフにはほとんど関心はなく、在学中はもっぱら海外のいろんな国を巡っていました。そのうち、世界の「物の流れ」や「お金の流れ」のシステムっていったいどうなっているんだろうって関心をもつようになり、本を渉猟するうちに、貿易か金融の仕事をしたいって思うようにまでなり、悩んだあげく、金融にすることにしました。そして、入社して営業で取引先とネットビジネスのたちあげの仕事に関るうちに、「お金の流れ」だけではなく、その裏側にある「物の流れ」も深くつっこんでみたい、徹底的に資格を取得するぐらいやってみようって、ついのぼせあがって考えていたときに、ふと目に飛び込んだのが通関士だったのです。通関は「物の流れ」のうちでほんの一部でしかないのですが、まずは輸出、輸入の通関やそれを法的に支えている関税法とはどんなものだろうって考え出して、もう二度とすまいと思っていた大学受験以来の受験勉強生活に突入してしまうのでした。
2. 学習方法模索のための自己分析
もともとものごとを理解するまでに、時間をかけて深く堀りさげて研究するという自分の要領の悪さと熱しやすく冷めやすい性格を知っていたので、仕事もさることながら、まだまだ遊びたいなかで、どうやって学習時間を捻りだそうか、継続的な長丁場に耐えられるか、まずそこから躓きました。悩んだあげく、生活時間のサイクルの再設計、圧縮、効率化を考えました。今にして思えばこの自己分析が結構重要だったのではないかと思います。一発合格ではないので偉そうには言えませんが、おかげで、メリハリのある充実した受験生活が送れたのではないかと、また、受験勉強から思わぬ「時間のコスト意識」という副産物を得ることができました。
3. 時間の確保と受験教材などを選ぶ
生活サイクルのこまかい設計をして、学習時間を確保すると、ではどうやって学習をすすめようかでまた悩みました。独学の非効率的な限界を知って予備校を選んだ経験から、講習を受けたほうが絶対いいに決まっているとは思ってはいたものの、冬はスキー、夏は海、年二回はする海外旅行、そして好きなフランス語会話のレッスンに暇な土日に行く、これらを絶つのは嫌でした。ただ、市販の教材で独学すると、性格が災いして合格するための学習から大きく軌道を逸脱してしまうだろうことも予想がつきました。確保した時間とこまぎれの時間を最大限に活用するにはやはり通信添削しかないかなと思いました。ただこれだと、講習会の臨場感もなく、緊張感が持続するだろうかという不安もありました。そこで考えたのが、受験生にまじって図書館で学習したり、会社から帰宅するまでに喫茶店に立寄って添削問題を解いたり、また、長丁場のまだ時間があるという甘えを絶つには、期間目標を設定して定期的に模擬試験を受験しようと決めました。
通信添削はいろんな資格受験予備校でやっていますが、いろいろあたった結果、あまり知られてはいない某校(失礼かな?)のに申込をしました。テキストの構成が、学習項目ごとに「解説
→ まとめ → 該当過去問題 → 総まとめの図説」と独習するには、とても学習をすすめやすくなっていたからです。添削の指導もとても丁寧で、質問票はなんどもつかえるし、そのたびに詳しい解説をしてくれました。指導してくれた講師のお言葉にはなんども励まされ、学習意欲を高めることができました。またとくに、演習問題編の総まとめのレジュメは、とても要領よく簡潔にかつ体系的に図説整理されていています。大きな視野で関税法全体を眺めながら、細かいところに目を通してゆく作業をするのには最適でした。
ちなみに僕のこまぎれの時間とは、通勤時間、営業のつぎの取引先、出張先にいくまでの移動時間、風呂に浸かっている時間、そして確保した時間とは、上司や同僚と意味もなくのりで飲みにいっていた時間(回数を減らしました)、つきあい残業の時間(たまに上司に割り切りがいいねと厭味を言われたことも)、仕事の徹底した効率化(要領のよさをはじめて学びました)をはかり圧縮することで早く帰って得られた時間(上司にまだまだものたりなさそうだねと言われ仕事を増やされてしまいましたが)などです。遊ぶ時間はほとんど減らしませんでした。遊ぶ時間を減らしていたら、一発で合格するのかも知れませんが、長続きはしなかったろうに思います。
4. 学習はじめる
まずは、通信教育のテキストに添って学習をすすめます。少々わからいことがあっても気にしません。とにかく読みすすめてテキストを読破してしまいます。練習用の過去問題でわからなかったところや、理解できなかった法令などは付箋をはっておきました。意外とあとから他の法令の関わりで理解できてしまったりするものです。そして、関税法とはこういうものなのかという法的な考え方というか、なんでこんな法令をつくったんだといことをぼんやりとでも全体観で掴んでしまいます。次に読むときは、理解できなかったところを中心に暗記するくらいなんども読み返したり、図表にしてみたりします。あっさりしたテキストでも噛めば噛むほど味がでてくるもので、理解した内容はどういう思考を経てそう理解したのか、テキストに書き込みをしておきます。そうすれば、あとから忘れてしまっても、記憶をたどる手がかりになります。そしてどうしても判らないところがでたら、質問票をつかって講師のかたに解説をお願いしました。これがまさに生きた参考書です。市販のぶあつい専門書などで研究するのもいいのですが、自分で考える時間ばかり増えると楽しいけれど非効率です。
テキストは知識がある程度しっかり定着するまで繰り返し読み、そして本格的に過去問題集にとりかかります。試験の傾向を知ること以上に知識のいっそうの定着化がはかれるからです。さらに過去問題を繰り返しているうちに、問題を解くためには何をどう理解しておかなければ判ってきます。そこで活躍するのが総まとめのレジュメです。アウトプットのためのインプットを考えながら、知識を体系的に整理してゆきます。そして、たりないところを書き込みして自分なりの試験対策サブノートを作成します。はじめから、ノートづくりをするのも楽しい作業ですが、大学受験で世界史のオリジナルサブノートに大いに時間を割いてしまった苦い経験からやめにしました。時間が少ない自分は、受験勉強はあくまで効率よく合格するべきと割り切りました。
5. 学習のスケジュール
なにをするにしても目標と期日のけじめは必要です。いつまでに何をするのか、これを明確にしておかないとだらだらと意味もなく時間を浪費するだけです。そして計画の進捗状況のチェックとそれに応じた計画の再評価をしました。僕はテキストや問題集のページ数を「確保した時間」で割り振り、消化できなかったところの学習や暗記には「こまぎれの時間」を活用しました。移動時間やお風呂で考えていると不思議とひらめいたりして手帳にメモしたり、記述問題の暗記カードを通勤時間にぺらぺらとめくったりしてました。計画に添って確実にすすめることで、充実感が生まれます。また、どうしても消化できないときは思い切って計画の再評価と修正も行いました。消化できない挫折感がストレスにならないうちに。
6. 追い込み
受験勉強で最後の合否の鍵を握るのは直前期の追い込み学習です。この時期は遊びたいだの眠たいだのといった甘えはかなぐり捨てて一心不乱に机に噛りついて貪欲に合格への執念を燃やして寝るまを惜しんで勉強しまくります。どんなに仕事で疲れていようが自分に鞭を打って、自分の限界以上の集中力と精神力で乗り切ります。僕は残り50日前からファイナルカウントダウンをはじめ、綿密な学習計画をたてて計画以上の勢いでもう肉体的疲労で体が壊れそうだと思うくらい勉強しました。通関士試験合格は決して取得の難しい国家資格ではありませんが、やさしいからこそ、完璧で正確な知識を要求される資格だと思います。最後まで諦めず合格することにもがいてしがみつく、なりふりかまってはいられませんでした。つきあい悪いなと言われても気にしていませんでした。
7.一年目の失敗と捲土重来
一年目は残念ながら「不合格」でした。合格に必要な知識は身につけたつもりでしたが、記述問題での知識の正確さに欠けていたことや、最後の追込学習でのつめの甘さ、応用問題に対応するための理解の浅さなど、反省していくうちにいろいろと問題点が浮き彫りになってきました。二年目はすでに充分に基礎はできていたので、反省点の克服と一年目の学習にプラスアルファを加えることにしました。
まずは、貿易全体の流れを知ることで、通関を貿易の流れのなかから捉え、より通関業務そのものが具体的に理解できるようにするために、某校の実務検定B級講座を受講、時間のあるときに録画テープを眺めて講義ノートをつくり、過去問題をざっと一回やってみました。(
実務検定は七月にC級のみ受験、合格。)
そして、次に大いに時間を割いてやったのが記述問題対策です。合格するための記述の解答とはいったいどうゆうものだろうか、記述対策のみの参考書を購入して読んで、自分なりによく考えて解答を拵えてみました。そして、インターネットで「愛の通関士合格大作戦」を発見、記述対策を読み、模範解答をプリントアウトして自分の拵えものの解答と比較検討してみました。ところが、何が記述の解答に欠けていてはいけないのかはいまひとつ判然とせず、某校の記述対策一日講座を受講してみました。問われている問題に正確に要領よくキーワードを洩らさず記述する、そして、どうやって忘れない暗記をするかのテクニックを過去問題数題を例にとって図で解説してくれて、大いに記述問題対策の指針になりました。そこでできた素地を充分活用して、再度プリントアウトしたすべての記述模範解答を自分なりに図に書き下ろし、記述洩れで失点になるようなキーワードはチェックしておきました。さらにやったのは新作問題対策です。短答式で過去になんども出題されながら記述問題のテーマになっていないものをあらいだして記述の解答を作成してみました。かなりしんどい作業ですが、記述問題の新作が出題されると、致命傷になりかねないのでやっておくことをお勧めします。
それから、応用問題対策ですが、これは難化している計算問題や申告書作成にだけ焦点をあてて「通関士試験の指針」でより深くつっこんで勉強してみました。それと捨て問とされている分類ですが、僕は拾いました。少なくとも過去問題だけでも機械的に暗記しておくべきですが、僕は分類方法について簡単にまとめた解説書を購入して読んでおきました。なんでこんなものがここに分類されるんだと思っている人は多いでしょうけど、読んでおけばあるていどコツはつかめます。
最後に二年目の追い込みですが、取りこぼしがないように直前講習に参加しました。そしてそこでの緊張感を持続させ、講習後の試験までの残りの日々は睡眠時間を削って死にもの狂いで勉強に励みました。よくもまああんな根性が自分にあったものだと我ながら感心します。
8. 試験日のこころがまえ
前日はやるだけのことはやったとの自信からぐっすり眠りました。そして試験の3時間前には起きて頭が活性化する時間と試験開始時間をあわせました。本番開始したら神経を集中して最期まで油断をしない。
記述の新作問題にもひるむことなく、知識を捻りだして決して諦めませんでした。今迄やってきたことを後悔しないように気迫で問題に取組みました。また、なんどもなんども解答を読み返して、間違えがないか、見落としがないか入念にチェックしました。申告書の作成では、終了10分前に間違いを見つけても、慌てずに書き直しました。粘り勝ちでした。
9. 最後に
試験翌日はこころに爽快感があり気持ちのいい朝を迎えました。やり遂げた充実感、久々のなんともいえぬ開放感でした。自己採点でもまずは合格しているだろうと思いました。そして合格発表日に飲んだ酒の美味かったこと、最高ですね。今は日本関税協会の通関研究部会の会員になって勉強を続けています。試験合格はゴールではありません。そこから新たなスタートがはじまるわけです。
末筆ながらこれから頑張るかたのご健闘をお祈りします。
平成12年11月17日 |